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ごまの歴史・家庭の食卓

ごまはどこで生まれ、
どこからやってきたのでしょうか?
ごまの故郷は、アフリカのサバンナ地方
和え物にしたりごはんにふりかけたり、天ぷら油や炒め物など名前も使われ方もとても日本的なイメージを持っているごま。
ごまはいったいどこで生まれ、どこからやってきたのでしょうか?

暑い国生まれのごま

ごまの故郷は、アフリカのサバンナ地帯とされています。エジプトのナイル川流域では、紀元前3000年以前にはすでに栽培されていたといわれています。古代エジプトや古代メソポタミアでは食用だけでなく、灯火用、香料や薬として利用されていたことが記録に残されています。
ごまは脂質を50%以上含みながら、酸化しにくいために貯蔵性も高く、たんぱく質も20%程度含まれています。他の雑穀類や果菜類と比べても栄養価の高い作物だったので、さまざまな地域へと広まっていったようです。
アフリカ生まれのごまは、ふたつのルートで世界の色々な地域に広まっていきます。ごまには熱帯型と温帯型があり、熱帯型のごまは、アフリカから「海路」でインドに伝わります。インドでは紀元前3000年頃栄えたモヘンジョ・ダロ遺跡からごまが出土し、当時かなりの量のごまが栽培されていたことがわかっています。その後、東南アジアへ渡り、オーストラリアに広まったといわれています。
一方、温帯型のごまは「陸路」を取り、古代オリエントのメソポタミア、エーゲ・クレタを経て、ギリシャ文明へ受け継がれます。その後、アレキサンダー大王の東方進出によって東西貿易が促進され、ごまはシルクロードを経て中国や朝鮮半島、そして日本にまで広まったといわれています。ごまは生まれ故郷のアフリカから約1万5000km以上もの長い道のりを経て、日本にたどり着いたのです。

中国では、仏教伝来とともに
広まった

中国では、紀元前3000年頃の黄河文明の遺跡からごまが出土していることからもわかるように、古くから栽培されていましたが、本格的に広まったのは仏教伝来の紀元前50年前後とされています。儀式用の灯油として使われ、需要が飛躍的に増大しました。また、この時期、ごま食の文化が広がり、ごまやごま油をふんだんに使うようになったといわれています。
中国では西域の諸国を「胡」といい、胡から持ち帰ったものには「胡瓜(きゅうり)」「胡椒(こしょう)」「胡桃(くるみ)」など、「胡」という字が冠されています。ごまの実は麻の実に似ていることから、胡から持ち帰った麻に似た植物ということで「胡麻」と称されるようになりました。現在は胡麻とは書かずに芝麻と書き、チーマーやジーマー、ツーマーという読み方をします。日本語のごまは、漢語の「胡麻」を音読みしたものです。

日本には、縄文時代に中国から伝来

日本では縄文時代後期の遺跡からごまが出土しています。日本でごまが食用として利用されるようになった背景には、6世紀中頃の仏教伝来が大きく影響しているようです。仏教では動物の命を断つ殺生が戒められています。その代用として栄養価の高いごまが用いられ、精進料理や懐石料理の基本が作られていったといわれています。
ごまはどのように育つの?
アフリカ生まれのごまは、暑い季節が大好き。
文明がはじまった頃から栽培され、毎日何かしら食べている身近な食べもの「ごま」。
ごまは一体どのように育つのでしょうか?

ごまは暑い季節が大好き

ごまは、ごま科ごま属の一年草の植物で、もともとはアフリカ・サバンナ生まれの熱帯産です。現在は熱帯地域から温帯地域まで広く栽培されています。熱帯産と温帯産に分けられ、その種類は約3000種にも及びます。
熱帯産のごまは背が高く、2m近くまで生長しますが、日本などで栽培されている温帯産のごまは、約1mほどの高さになります。
温帯地域では初夏に種蒔きをし、3日から5日くらいで発芽します。そして、真夏のじりじりと照りつける太陽の下でぐんぐんと草丈を伸ばしながら、下から順番に次々と花を咲かせます。

さく果にぎっしり詰まった粒=ごま

ごまの種を蒔いてから40~50日後に花が茎の下の方から順番に咲き始め、上に向かって茎を伸ばしながら、次々と開花していきます。
ラッパのような形をした花は葉のつけ根につき、花の色には白、ピンク、紫などがあります。
花が落ちた後、30~40日で種子がぎっしりと詰まった「さく果」が生長します。
さく果が成熟し乾燥すると、パックリと開き、粒がポロポロと飛び出してきます。さく果が全て成熟してはじけてしまわないうちに刈り取り、立てかけて乾燥させてから、たたいて種子を収穫します。この粒が、ごまです。

買ったごまを栽培できる?

市販されているごまは加熱処理をされているため、蒔いても芽が出ることはありません。
ご自分で栽培する場合は、園芸店などで種として販売されているごまを購入してください。
世界各地のごまを使った
家庭料理をご紹介します
世界のごま生産量
アフリカサバンナで生まれたごまは、野生のものから栽培されているものまで、熱帯から温帯地域にかけ幅広く分布しています。
世界のごまの生産量は年間約350万トン。
ミャンマー、インド、中国の上位3カ国で世界の生産量の約6割を占めています。
日本でも各地で栽培されていますが、その量はわずかで、
一般に販売されているごま商品、ごま油の原料はほとんどを輸入に依存しています。
ごまの生産国や各国のごまの輸出入量は、バイオ燃料の台頭によりとうもろこしなど
世界の穀物需要が変化してきていることなどから大きく変わっていく兆しが出始めています。
世界のごま料理
ごまは非常に古い時代から愛用され、ごま食の文化は世界各地に広まっています。
生ごま、焙煎ごま、ごまペースト、ごま油まで、さまざまな形で世界各地の多種多様なお料理に取り入れられているごま。
ここでは、各地の家庭料理を紹介します。
江戸時代のごま油の製造器具や、ごま油ができるまでの工程をご紹介します。
ごま油の今と昔
ごまには約50%の油が含まれているため、大昔から人々はごまを搾ってごま油を作り、様々な用途に利用してきました。
現在、かどやでは、風光明媚な瀬戸内小豆島で、創業以来の伝統を守りながら、ごま油などのごま製品を生産しています。
生産されたごま製品各種は国内のみならず海外へも輸出されています。
かどやのごま製品ができるまでの工程は、「かどや製油の工場見学」でご覧いただけます。

江戸時代の製造器具

太古の時代から人々はごまを搾り、灯りに、儀式に、食用にとさまざまに利用してきました。かどやには、江戸時代(安政5年/1858年)からごま油を作っていたという古い歴史があります。いにしえの昔に思いを馳せごま油の豊かな香りを思い起こさせる、当時のごま油の製造器具を、紹介します。